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ロングテールは幻想なのか?

2009年12月29日

 ダイエットブログの方にも書いたんだけどね、来月文藝春秋から出る文庫がおかしな事になっている。
 「レコーディング・ダイエット決定版」という書き下ろし本と、もう一冊の「レコーディング・ダイエット決定版 手帳」という書き込み式の手帳。
 この手帳の定価が190円という安すぎる価格なので、オンライン書店から「取り扱ってもらえない」という事態が起きているらしい。

 amazonで予約した人は、まだ発売前なのに「amazonから予約キャンセルのお知らせが来た」とtwitterで報告してくれた。
 この事態に対して、ダイエットブログの方では「定価が安すぎて、amazonなどオンライン書店では売っても利益が出ない。だから取り扱えないからだ」と説明をしている。
 amazonプレミアムの会員には通販無料にしなくちゃいけない。その最低価格が400円だ、という話を聞いたこともある。

 さて、ここからが今日の本題。
 別に僕の新刊の取り扱いウンヌンはどうでもいい。利益が出ないならショップも扱わなくて当然だろう。
 消費者やファンのためにとできるだけ安価で良質な商品を企画したけど、それはそれで僕と出版社が悔しがったり対応策を考えればいいだけ。
 問題の本質はここじゃない。

 この件で考えてみたんだけどね、ロングテール現象って幻想なのかな?
 今回の件で、通販サイト関係者に質問したら、匿名を条件にいろんなことを教えてもらった。
「定価が安い商品や利益の薄い商品は、カタログには載せるけど『品切れ処理』にしている」
「通販サイトは在庫種類を多く見せないとやっていけない。扱ってない商品でもオンラインカタログには載せて、問い合わせが来たら『売り切れです』と答える」
 僕の190円手帳と同じようなことは、どうやら水面下ではどこでも起きているらしい。

 リアルショップでは在庫や品揃えというのはごまかしにくい。
 でもオンラインショップでは、画像データさえあれば「在庫有り」商品とまったく見分けがつかない。
 ネットショッピングが当たり前になっている現在、実は「よく売れて儲かる商品」を優遇し、「あまり売れない商品」「利益の薄い商品」を冷遇したり、存在をもみ消したりするようなやり方が徐々に浸透しつつあるんじゃないか?
 僕は自分の手帳事件の底には、こういう「ネット通販のウソ」が隠れているような気がする。

 ロングテール現象という言葉はamazonのビジネスモデルから生まれた言葉だと言う。
 本来なら「売れ筋ではない商品」「利益の薄い商品」であろうとも、できるだけ多くの品種を網羅することによって、その総量が収益モデルを支えている。それがロングテール現象の本質じゃないだろうか?
 しかし上記のような「ネット通販のウソ」は、あきらかにロングテール現象の否定だ。

 今回の190円手帳、リアル書店ではどこでも取り扱ってもらえる。
 リアル店舗を持つセブンイレブン系ネット書店でも取り扱いOKだそうだ。
 そういえばamazonでは少年ジャンプや東スポ、売っていないよね。
 意外なところに、リアル書店の強みがあるんだなぁ。

 今日はここまで。
 明日はコミケ報告をします。
 じゃ、また明日ね。


Posted by 岡田斗司夫 at 23:10

この記事へのコメント

以下のメッセージをいただきました。評価は各自にまかせます。
「ロングテールを標榜しているECは、SEO対策の為にやっているんだと思いますよ。ログ分析してみると、実態がよくわかります。」
Posted by 岡田斗司夫岡田斗司夫 at 2009年12月29日 23:52
リアル書店で働いているので、ブックオフやAmazonの弱点は、小さいことでも情報が欲しいので、こういう記事は嬉しいです。

ただ利益率が違うとはいえ、amazonは乾電池やボールペンなど100円(あるいはそれ以下)の商品も置いてるので、なんで書籍だけがという疑問はでてきます。大きさ・重量などの問題でしょうか?

あと、週刊誌と新聞を置いてないのは単純に鮮度の問題ではないかと思います。新聞は一日、週刊誌は一週間で店頭から消えるものですし。
Posted by 煌多志 at 2009年12月30日 01:24
なんじゃそりゃ!
田舎もんをバカにしてるのか!
Posted by だいすけ at 2009年12月30日 05:47
そのセンブン系でも文庫は注文できたけど手帳は入荷連絡待ちですからね。
そう聞くと今後のためと注文入れたけどやっぱり地元の本屋さんで買うべきだったかなとも。
Posted by AVR93 at 2009年12月30日 08:36
ECショップの経営に携わっておりますが、
すでにロングテール現象という言葉は同業の間では聞かなくなりました。
もっともらしい理屈とアマゾンの勢いとともに広がった言葉でしたが、それが幻だったということに皆気付いてしまったんでしょう。

利益の薄い商品、売れ筋でない商品、これらをどんだけ集めても店を支えられないどころか、逆に手間ばかりかかり赤字が増えるだけです。
手間の部分をできるだけPCに任せたのがアマゾンのキモなのでしょうけど、それでも限度があります。(例えばアマゾンだと在庫置いとかなきゃいけないし、その本の部分の倉庫費・管理費が利益を超えちゃったら扱えないですよね)

納得出来ない人は自分でECショップを運営すると過程して勘定をしてみればいいと思いますよ。
どう考えてもロングテール商品で収益モデルを支えられません!!

限定的なロングテール戦略など今の時代に合わせた特別な場合もありますが、それは本論とはずれるので。


いつも楽しくこのブログ読ませて頂いています。
トークライブ日付が合わず行けてないのですが、予定が合えば行きたいです!!
同人誌の通販は予定ないのですか?
きっちり利益でる価格に変更があったとしても買いたいです!
Posted by 大城奈 at 2009年12月30日 09:19
 いや、「ロングテール自体が嘘」というのは飛躍だと思いますよ。少なくともiTunesなどデータを販売する場合には成り立ちます。データの保管料はほとんどいらないんで、在庫を持つことによるコストがほとんどなく、たまにでも売れれば利益が出せるので、長い長いロングテールが実現できるわけです。
 当たり前の話ですが、これは実体のある商品を倉庫に保管するとなると、話が違ってきます。大きな書店があまり売れない商品も棚に置けるのは、そこにお客さんが沢山来るので、小さな書店よりもその商品が売れ、在庫を持つコストを上回る利益が出るからです。
 amazonはそのお客さんが無茶苦茶多いんで、売れなくても棚に並べられる商品の数が増えた、それだけのことです。amazonはただの「とてつもなく大きな書店」にすぎません。在庫のコストが利益を上回ったら、やっぱり在庫しないのは当たり前です。それはデータ販売においてもまったく変わらない定理です。
 ロングテールというのは、今までの本の売れ方、在庫の仕方が変わったという話ではありません。ただITによって、オンラインショップという今までにない規模の「書店」が現れたり、在庫コストが下がったりしたため、「ここまでの商品は棚に置いても儲かる」という下限が、下がっただけです。その下限よりもさらに下の商品は、やはり在庫されません。
 「売れない商品でも全部置いてもらえる」という「夢のビジネスモデル」が登場したと思っていたのなら、ご愁傷さまですとしか言えませんが、このロングテールを勘違いしている人は大量にいるので、これから一悶着起きるかもしれませんね。
Posted by gase2 at 2009年12月30日 13:32
ロングテールって個人的には
「市場の範囲をとてつもなく広く取ったらどうにか商売が成立する商品」
というイメージだったので

その商品の売値が
売り手(供給側)の提供可能な最低価格(手数料とか込)と販売量の組み合わせを下回る場合、そもそも供給曲線上に現れないという
ミクロ経済学の単純な理屈には
あてはまってるかな、とも思いました
Posted by nori at 2009年12月30日 18:37
ネット万歳!
カミングアウト万歳!
ネットが無かったらこういう事実は闇から闇でした。僕は映画業界の裏側に詳しゴニョゴニョ
Posted by ネット万歳 at 2009年12月30日 18:54
たとえばプチクリなんかamazonnではもう新刊は売ってないのですね。でも古本が買えるので、入手することは可能です。
このように新刊は扱ってないけど、中古でのみ買える商品って結構あります。
本だけではなくて、CDとかDVDでも。
結果的にユーザーサイドから見ると、ほぼ買えない商品はないというのが(小生の)実感です。
なんか微妙なねじれ現象なような感じもしますが。
Posted by スロ at 2009年12月30日 19:01
残存者利益とロングテールは微妙に異なるようですね。

勉強不足でした。
Posted by ふーん at 2010年01月05日 13:12
手帳の仕様を公開してフリーにしてしまうというのはダメですか?
広告のせても利益が出ないかな。
フリーペーパーならぬフリー手帳ってことで。

ロングテールに関して、
長いシッポというよりは、
長い影(実体ではなく影)なんでしょうね。
商品の設計・構想・デザインなどが
長くネット上に残るだけでも価値はあるような気がします。
広告や啓蒙活動などで需要を再び喚起すれば、
また生産されたり、
他のメーカーが似たような物を作ってくれたりしますからね。

復刊ドットコム や たのみこむ のように、
需要の数を確保した後に生産するという手もあります。

それから、Amazonに関して、
Amazonはネット企業(ソフトウェア)の代表だと考えられていますけれども、
土地の価値(ハードウェア)に関して慎重に考えた企業でもあります。
Amazonの倉庫は、千葉県でしたよね?
Amazonを日本に持ってくるときに、
1.流通コスト:道路が整備されているか
2.土地コスト:土地の面積あたりの単価
をかなり慎重に計算したらしいです。

ひろゆき氏が語ってましたけれども、
最近、ネット会社・ソフト会社は東京に移転する傾向があるらしい。
ソフトで差がつかなくなると、
最後はハードウェアでの競争になってしまうからだそうです。
土地・環境は最後まで動かせませんものね。

富士山を動かす方法を考える、みたいな話になってきますね。
Posted by 囚人番号六 at 2010年01月05日 14:53
手帳の仕様公開&フリー化はやりたかったけど、文芸春秋からダメと言われました。
Posted by 岡田斗司夫岡田斗司夫 at 2010年01月05日 18:43
手帳について入荷したとのメールが来たので早速注文しました。手帳を別途注文させて発送だとコスト余計にかかるんじゃないかと思いつつ。
でも同時に文庫版が梱包準備中とのメールがきたというとことは「一緒に発送するんだからとっとと注文しろ」ってことなのかなぁ。
Posted by AVR93 at 2010年01月06日 07:50